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2021.07.12

好きから始まるアートの入口

 

好きから始まるアートの入口」 2021年7月号

 

僕は難しい事は嫌いだ!

 

仕事でも遊びでも人生でも簡単ではない事は百も承知している。

だからこそ、その難しさを簡単に出来るための方法を常に考えている。

 

何でもそうだが、難しい事を更に難しく話す人がいるが

本当に当人も理解しているのか?

 

・・・疑問に思っている。

 

 

更に、厄介な人は簡単な事も難しく言う人がいる。

 

そういう人は自分が優れていると言う事をアピールしたいのか?

それとも権威付けの為なのか?

 

・・・理解に苦しむ。 

 

 

難しい事を簡単に分かり易く伝えてくれる人を尊敬する。

 

「なんだ!そうだったのか!お面白そうだなぁ、。」

 

・・・根本は分からなく点も、もっと理解するために勉強してみようと

気付きを与えてくれるからである。

 

 

アート・芸術を難しく語り始めると、

 

宇宙の果て?

 

魂とは?

 

量子コンピューターでも答えを出せなくなってしまう。

 

僕の「アート」の入口は、中学時代の美術の教科書ではなく、

19歳の時に旅立ったヨーロッパであった。

 

最初の寄港地であるフランスの首都、パリに数週間滞在している時、

日々、兎に角、街を徘徊しながら国際学生書を提示すれば割引が利く

博物館や美術館を巡って観て回った。

 

勿論、ルーブル美術館で「モナリザ」も

印象派を数多く展示しているオルセー美術館で

ルノアールやゴッホ、モネ、

ポンピドゥーセンターでは近代美術を中心に

ピカソ・ミロ・マティス等々・・・

 

まなこ全開ぜんかいで凝視して気に入った作品の前では

誰をも寄せ付けないオーラ―を放ちつつ

時の過ぎるの忘れて佇んでいた。

 

・・・作品の背景も画家たちの思いも時代の状況も

知らぬまま理解しないまま作品を眺めていた。

 

・・・それは面白かった。

 

分からないけど、五感が刺激された。

 

作品が放つ魅力に「震えた」

 

・・・言葉が適切ではないと思うが、作品の魔力に

吸い込まれてしまった。

 

・・・簡単に言うと、好きか? 嫌いか?

 

その二つフレーズで事足りてしまう。

 

 

・・・

 

それから、10年後、30歳目前の僕は、福岡で

小さなギャラリーを主宰する女性オーナーと知り合った。

 

・・・日本に帰国後、25歳で入社したベンチャー企業に

どっぷり嵌り、先頭切って働く僕はビジネスでの目標達成が

一番であり人生を楽しむ余裕すら失っていた時を過ごしていた。

 

マンションの一室5坪のギャラリーに招かれた僕は、

その時、出会った一枚の「絵」

 

描かれていたのは、

「欧州の旧市街と思しき街を女の子が犬を連れての散歩風景」

・・・決して明るい色彩ではないが、心の安らぎを感じた。

 

作品は安元亮祐画伯の「休息日」と言うタイトル。

 

・・・その時、10年前の僕が蘇った。

 

ポンピドゥーセンターの展示室での作品を目の前にまなこ全開ぜんかいで眺めていた僕。

 

五感・好奇心が刺激され・・・この作品、「好き」

そう、「好き」

 

・・・当時の僕には大きな出費となったが、初めて手に入れた作品となった。

 

 

それから30数年に渡って好きな作品を自分の傍に・近くに展示した。

 

身近に見る事の出来る状態にするために購入した作品は60数点に及ぶ。

自宅だけではなく、オフィスの自室にも、会議室にも。

それは作品をいつでも見る事が出来るから・・・

 

さて、九州派をご存知だろうか?

 

・・・自分が住む九州、足元にこんなにも数多くの異才・偉才の画家たち、

そう彼らが放つ異彩が宿り続け生き続けている。

 

・・・彼ら・彼らの作品を紐解くワードは沢山溢れているが、

前衛的であったとか?

と言う過去の言葉で片付けてしまってはいけない。

 

イギリスの陶芸家でもあり画家でもあるバーナード・リーチの様に

日本を訪れ白樺派や民芸運動にも関わって才能溢れるが埋もれる

若き芸術家達を開化させ日本とイギリスとの懸け橋になったリーチの

様に、僕らがその役割を少しでも担えたらと・・・

 

昨年、10月の展示会で出会った尾花成春の「海よりの風景」

今、僕のオフィスに訪れようとしている。

 

好きから始まるアートの入口、それで良いと思う。

そんな人が増えたら人生はきっと、あの時手に入れた「休息日」の様に

優しく豊かになれるのではないだろうか?

 

好きから始まるアートの入口

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