承継=後継者の道
『 承継=後継者の道 』 2021年2月号
事業承継は簡単ではありません。
経営権、資産・負債だけではなく、会社が辿った歴史も引き継ぐ事になります。
当然、会社(製品・サービス等)の評価も社員の能力も不満も引き継がなければなりません。
同族への承継・従業員への承継(MBOを含めて)・会社売却(Ⅿ&A)と幾つかの承継の方法はありますが、今回はお子様・従業員への承継についてお話をします。
承継される方は後継者となります。
好業績が続いていても逆に業績悪化で厳しい状況でも、どちらも大変です。
何が大変なのか?
業績が良ければ多くの社員は安定が未来永劫続くと勘違いをします。
悪ければ経営者や世の中の責任にして自らの努力を忘れます・・・
(私見です。そうじゃない会社は気にしないで下さい。失礼をお許し下さい。)
特にカリスマ経営者の下で育った番頭さんたちは、過去の成功体験が頭と身体に染み付いてなかなか抜け切れない状態です。
何かにつけ、先代経営者の考え方・やり方を踏襲する前例主義となっています。
過去の全てが悪いわけではありません。
良いものは残すべきです。
後継者が正しい判断と決断が出来るか?が大きなポイントです。
カリスマ経営者が会長となり院政を引き、ことある毎に口を挟む。
古株番頭さんたちが、「あぁだ!」「こぅだ!」と兎に角、反対して動かない。
中間管理職の年だけ重ねたベテランさんが若い人の重しになって邪魔をする。
改善・改革を唱えると、
時間がかかるだの、馴染みがないだの、金がかかるだの・・・
一時的な端境期での多少の二重化による人と時間が増える事を持出し未来を直視せず、改悪だと駄々をこねる。
乗り越えなければ新しい時代を創造出来ない。
「因習」「慣習」「慣例」「しきたり」「ならわし」・・・
残すべき良いものは伝統として継承し、変えるべきものは時代・状況に合わせて変化させる事が必要です。
「失敗しても良い!」
その失敗を次の成功に繋げるために応援してくれる仲間を作れるか、
その為に見習い後継者は地を這え、直ぐに動け!
社員・取引先・お客様に会う事。触れ合う事。
近づく事を徹底的にやらなければならない。
いきなりなった社長を誰が信用するのか?
皆の声を訊き、現状の課題や問題点を炙り出し、自らを曝け出す事が出来て初めて近づく事が出来ます。
「答えは現場にある。」
・・・非常に古臭くアナログ的な事を言っていますが、企業の構成人員は「人」です。
上場企業やナショナルブランドや数千人、数万人以上抱える大企業は別としても、
中小零細は創業者が身体一つで人・物・金に頼らず自らの知恵と行動で、
全てに近づき創り上げる過程で多くの「人」を巻き込んできたのです。
その事で、会社のリスクを多くの人の知恵と工夫と協力で軽減し、チャンスを掴んで増幅させて成長させてきたのです。
その人を巻き込む背景には、経営者のリスクを怖れず何事にもぶつかって来た「覚悟」があります。
その「覚悟」は多くの社員や取引先の方々や多くのお客様と言う「人々」が助けてくれたのです。
だからこそ見習い後継者は(社員・取引先・お客様)近づく行動を徹底的にやる事をお勧めします。
経営は一人では出来ません。
多くの客をファンにする。
取引先との良好な関係。
社員一人一人のパフォーマンスを向上させるためには巻き込むしかありません。
それが、あなた(後継者)の役目です。
承継問題を抱えている現役経営者の皆さま、
後継者の「失敗」を未来への成長のヒントにする為にも、あなたの大きな懐でカバーしてあげて下さい。