比較の心理
「あの人は、自分より仕事ができるなぁ」
「あの人は、自分よりも経済的に裕福だなぁ」
「あの人は、自分よりもかっこいいなぁ」
など他人と自分を比べることがある人も多いのではないでしょうか?
【社会的比較理論】の提唱者であるアメリカの心理学者
レオン・フェスティンガーは
人が他人と自分を比較するのは、本能であり、無意識の反応であると言っています
つまり
殆どの人は、他人と自分を比較してしまう心理的な癖をもっているのです
なので
他人と自分を比較して落ち込んだり、自分を責めたりする必要はないのです
ただ
比較することで
他者に対して妬んだり
不必要に自信を失って自分の大切なエネルギーを低下させたりすることがあれば
比較についての心理を理解し
マイナス感情から脱してプラスに活用するとよいでしょう
それぞれの領域において
自分よりも優秀な人は当然沢山います
「仕事」「勉強」「スポーツ」「収入」「容姿」など
比較のポイントを挙げれば切りがありません
いちいち他者と自分を比較して落ち込むことは
大切な人生の無駄遣いともいえるでしょう
不要なストレスを溜めず
自分のエネルギーを高めるために
比較を活用する心理的なスキルについて紹介していきましょう
◆ポジティブな上方比較を活用する
自分より優れた人を目の当たりした時
ポジティブな上方比較をすると良いでしょう
ポジティブな上方比較とは
相手に対して「妬む」のではなく「リスペクト」し
相手の長所を探しだし真似ていくことで
心理学では【モデリング】と言いますが
良いところを見つけて段階的に自分に取り入れていくことで
間違いなく成長していくことが可能となります
◆気をつけたいネガティブな上方比較
自分よりも出来る人を見た時に気をつけるべきは
ネガティブな上方比較です
「自分はダメだ」
「絶対に勝てない」
などの自己否定感に苛まれると
エネルギーが下がるだけではなく
妬みや嫉みに心を奪われ
悔しさから嫌がらせをしたり
その人の弱みを探し出し吹聴して回るような
ダークな行動をとってしまう恐れがあるので注意が必要です
◆気をつけたい下方比較
自分よりも下の人を見つけて(元来、人に上も下もないのですが)
「あの人よりはましだ」
と思う心理を
心理学では下方比較といいます
下方比較をすると
多少の安心感を得られますが
「もっと頑張ろう」という意欲は高まらず
自己改善には至らず本質的でない「ささやかな自己肯定」が得られるだけで
結果的に現状に安住し思考も行動も停止するので注意が必要です
◆他者・過去と比較せず自分の今に集中する
他者と比較するのではなく自分の今に集中することが
自己肯定感を上げ
ストレスを軽減し
自己成長を促す結果を生みます
例えば
「自分は今、仕事に集中しお客様や会社の仲間に貢献している」
「大変な失敗をしたけれど、今それを乗り越えるために努力している」
など今の自分の行動や意識に対して肯定感を持つことで確実にエネルギーが高まります
また、過去の自分と比較し
成長点を認識することは良いことですが
過去の栄光にすがるような自己比較は避けた方がよいでしょう
例えば
「あの頃は営業成績もよく輝いていた。それに比べて今は・・・・」
などと過去と比べて現在を否定することは成長のエネルギーを削いでしまいます
大切なのは「今」です
例え過去に比べて上手くいっていなかったとしても
「今」を頑張っている自分を承認していくことで
成長発展の道筋が見えてきます
冒頭でも書いたように
人間は比較する動物であり
比較自体は悪いことではありません
しかし
「嫉み」「妬み」「自分はダメだ」などの思いに苛まれそうになったら
意識的に自分のエネルギーを高め未来を築くような
ポジティブな比較を意識して行動するとよいでしょう