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2021.11.25

リアルな時代

 

「リアルな時代」 2021年11月号

 

 コロナ禍での緊急事態宣言も解除となり本格的なウィズコロナでの経済活動が始動したのか?

その状況をリサーチするために日本国内、主要な観光地を南から北へと巡ってみた。

先ずは福岡から沖縄へ、那覇空港から恩納村へ車で移動して宿泊先が今回の目的地である分譲コンドミニアムホテルの「HIYORIオーシャンリゾート沖縄」

グランドオープンは今年3月1日でのコロナ禍である。総部屋数203室の内、残り僅か2室を残すのみ、ほぼ完売状態と言っても良いだろう。

 

平均販売金額は6000万円台。

高いか?安いか?その価値は?・・・

到着したのが平日だったが多くのお客様が見受けられた。

 

 もちろん、所有するオーナーだけではなく、多くはホテルサイトや旅行会社で予約された一般の観光客である。その一般宿泊客の落とす部屋代がオーナーにペイバック(賃料収入)として還元される。

 

 法人の所有であれば、区分所有分の建物は原価償却の対象にもなるし、固定資産税や管理費、修繕費等も経費で落とす事は出来る。またホテルとしての価値が上がれば資産としてのリサールバリューも高まる。全室テラス&キッチン付きのオーシャンビューのスイートルームである。

 

 広さも56㎡以上。屋内・屋外のプール・エステにジム・メインダイニングに鉄板焼き・バーカウンター・オーナーにはドリンク飲み放題のオーナーラウンジも用意されている。

 

 ロビーは海外の南国のリゾートホテルによくある開放的なオープンエアーロビーにビューラウンジとなっている。

 

・・・兎に角、気持ちが良い。

部屋が広い事。

丘陵地に建てられているので眺めが良い事。

 

 部屋の窓からは沖縄西岸の美ら海の青さが眩しく輝き、廊下側は鳥の囀りと深い碧に心を癒される。

最も感心したのはスタッフの対応の良さ、心からの「おもてなし」である。

 

 フロントスタッフもレストエランスタッフも・・・部屋のデザインや調度品や家具のクォリティーの高さもあるが、リアルな接客という直接対面して感じるところが大きな価値となっている。

 

2日間滞在して、那覇から羽田経由で札幌へ・・・

 

宿泊先は札幌グランドホテル。

なぜか?・・・

 

 日本の「グランドホテル」という名称は「格式」に於いては負けてはいない地方に於いてのローカル資本が経営するランドマーク的なホテルであった。

 

 「あった」と敢えて過去形で言うのは殆どのホテルが老朽化し、また、外資の高級ホテルや今どきのコンセプトホテルに押されている現状である。

 

 同様に札幌グランドホテルもロケーションの良さとスタッフの高いプライドを除くと、部屋の広さ・高さも中途半端だし隣室や階上からの音も気になる。

でもね、大きなポテンシャルが隠されている。

 

 陳腐化した地方の主要都市に存在する「グランドホテル」の復活はシーズを炙り出し、リソースパフォーマンスを向上させればユニークな素敵なニューヨークに有るようなブティクホテルに生まれ変わる筈だ・・・

 

札幌での夕食は、ジンギスカンの名店「八仙」。

 

焼肉特有の匂いが付かないように上着やカバンは大きなごみ袋に入れて封をして足元に置く。

炭火の上の金網にラム肉を乗せ適度に焼けば柔らかく臭みもないジューシーなジンギスカンを堪能できる。

「美味い!安い!早い!楽しい!」にスタッフの愛想が良い。

 

とても大事。

 

数年前に訪れた僕を覚えていてくれた。

600円を引いてくれた気前の良さも嬉しい。

ジュージューと焼ける音。香ばしい香り。肉自身のうま味。雑多な店内。

この全てが体験。このリアルな体験が嬉しい。

 

一泊して、翌日、東京へ、東京の目的は「家具屋」廻り。

 

 家具を買うのが目的ではなく、仕事としてホテル業・家具会社のコンサルティングを請け負う身としてのリアルなリサーチである。

 

 現場を視なければ推測しかない。推測には事実のデータが必要である。

 

その事実も視点、立ち位置が変われば答えも変わる。

時間の経過とともにその答えも意味を失う。

だから現場主義。体験主義。

 

 目黒駅から権之助坂を下る中目黒・下目黒界隈には多くの家具屋が集積している。客目線で一店舗。一店舗を訪ねて行った。

 

家具業界もECサイトでの販売が伸びている。家具をネットで買う?

 

洋服も靴も野菜もネットで買う時代である。

 

特にコロナ禍では伸びている・・・確かにその潮流の中にいる。

多くのものはネットで買える。

そうだよね、スマホで手軽に注文、電子決済で支払完了・・・

 

でもね、この目黒通り界隈のお店は消えていない・・・

殆どのお店?全ての店がネット通販を行っているのも承知している。

 

でも、ネット通販だけなら高い家賃を払って路面店の必要はない。

その理由を現場にてリサーチしてみた。

 

・・・「コンセプト」重視。

 

この界隈の家具店はオーナーや会社としてのコンセプトが明確である。イギリスアンティック家具、オーダー家具、ミッドセンチュリー・北欧スタイル・クラシックスタイル・モダンスタイル・アジアンスタイル等と中古も新作も含めて多種多様なスタイルから自分たちのコンセプト、いや、そのセレクトぶりはフィロソフィの境地に昇華している。

 

眺めているだけでも楽しい。椅子やソファは座ると良くわかる。一つ一つ座り心地が全く異なる。体型・年齢・症状を含めた最も自分に適したものは座らなければ分からない。

 

当然、触ることで質感や素材感、色味やデザインも液晶画面でビジュアル化されたモノとは実物は違う。

 

スタッフの接客がまた良い、客との距離感を大事にしている。ECを否定しているわけでは決してない。リアルな体験こそが価値を高める事になっている。

 

あなたの部屋のあなたの椅子が価格ではなく、家具屋を歩き回り自ら座る事を繰り返し手に入れたお気に入りの逸品があなたにとって最高の座り心地を提供してくれる価値。

 

僕はその価値を大事にしたい。

ウィズコロナでのリアルな時代を忘れないで欲しい。

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