不要なストレスを生まない組織づくり①
ストレスとはエネルギーの発生状態であり
周囲に起った出来事に対して、私たちの心身が
その状態に適応しようとエネルギーが発生して
いる状態のことを示しています。
ストレスと言う言葉の響きは
ネガティブに聞こえることが多いかもしれませんが
まったくストレスが無い状況では
人は無気力化しエネルギーレベルも幸福度も低くなってしまいます。
適度なストレスが私たちを活性化し
仕事や人生を充実させるために必要だと言われています。
しかし
知らず知らずのうちにストレスを多く抱え込んでしまうと
過剰なストレスから心身ともに危険な状態となってしまいます。
つまり
ストレスを適正に保つマネージメント力が
私たちに求められているということです。
コロナの混乱の中で
ウィルスの脅威や
それに伴う経済的な不安
テレワークによるリアルコミュニケーションの不足などから
これまでとは違うストレスを感じている方も多いと考えます。
大変残念なことですが
ストレスから体調を崩し退職を余儀なくされたり
更に悪い場合には、自らの命を絶つような痛ましいケースへと
進んでしまう方がいらっしゃることも事実です。
今回は
「不要なストレスを生まない組織づくり」の第1弾として
大切な社員の方にメンタル不調が伺える場合の対応法をご紹介します。
まず
メンタル不調が強く疑われる発言とはどのようなものでしょうか?
●メンタル不調が疑われる発言
「考えがまとまらず、判断が出来ないんです。」
「何事も楽しめないんです。」
「気分が憂鬱で沈みがちなんです。」
「自分は駄目な人間です。どこかに消えてしまいたい。」
「熟睡できないです。たくさん寝ても疲れがとれません。」
「動悸がしたり息切れがしたりして苦しい時があります。」
「ずっと体調がすぐれません。」
「何を食べても美味しく感じません。」
これらの発言がなされり
そのような様子が見られたら
ストレスレベルが危険領域にあるか
または危険領域に向かっているサインです。
このストレスのサインを感じたらじっくりと話を聴くことが重要です。
話をする際の声掛けや話の聴き方の例を示してみましょう。
●声のかけ方
「あなたの最近の様子が心配です。話を聞かせもらえますか?話してくれたら嬉しい。」
などと声をかけひたすら傾聴しましょう。
●話の聴き方
事実と異なっていたり
誤った判断に基づいていると感じもて
先ずは次のことに留意し話を聴いてみましょう
● 話を遮らずひたすら積極的傾聴する
● 指摘をせず全て話しを聴く
● 修正を求めたりせず一心に話を聴く
心の不調がある場合
ものの考え方や判断の仕方が正常に働いていないことが多く
通常時のその人らしさが失われていることが少なくありません。
「気分転換に趣味を始めたら」などの助言も
そうなければならないという負担感が増す恐れもあるため注意が必要です。
次に以下の4ケースを例に対応を考えてみましょう。
■ケース1.相手の話が間違っている場合
【ありがちな対応】
「君の考えは間違っている」
「そんな考えでは駄目だ」
相手の言うことを頭ごなしに否定しないことが必要です。
■ケース1.相手の話が間違っている場合
【適切な対応】
「どうしてそんな風に考えるのか教えてくれないかな?」
相手を否定するような言動をさけましょう。
相手の言っていることに同意出来ない場合でも
理解をしようとする姿勢をみせることが重要です。
■ケース2.相手の話を要約する場合
【ありがち対応】
「(話の途中で)つまり君はこう言おうとしているのでしょう。」
相手の話を先回りせず
途中で遮らないことが大切です。
■ケース2.相手の話を要約する場合
【適切な対応】
(全て聴いた後で)
「あなたが伝えたかったのは、こういうことで間違いないかな?」
「私には、そう聞こえたんだけれど、もし間違ってたら教えてくれるかな?」
他者に気持ちを伝えることが気持ちの整理にも役立ちます。
相手が考えながら話している時には
最後まで聴くよう努めましょう。
充分に聴き終えた後に相手の真意を確認することは悪いことではありません。
■ケース3.提案する場合
【ありがちな対応】
「そんなこと考えているより楽しいことを考えようよ」
「普通は、みんなそんなに気にしないよ」
「他の人は(僕は)こうしてるよ」
相手の苦しみや辛さに対して
気持ちの問題としたり
一般論化したり
比較したりしないようにしましょう。
■ケース3.提案する場合
【適切な対応】
「あなたは◯◯について、そんなに悩んでいたんだね。」
相手が「簡単に考えられている。」
「十分に理解してもらえない」という印象を持つことは
避けるべきです。
寄り添う姿勢を示すことが重要です。
また他者の事例が
必ずしも本人に当てはまるわけではありません。
他者との比較自体に悩んでいることもあるため留意する必要があります。
■ケース4.励ます場合
【ありがちな対応】
「弱音を吐かず、頑張らないとだめだ」
無理な励ましは逆効果となることもあります。
■ケース4.励ます場合
【適切な対応】
「皆も協力するから一緒にどうするか考えていこう」
共感性をもって一緒に協力していく姿勢を示しましょう。
その上で励ますことは効果があります。
励ましが必ずしも悪いわけではありません。
今回お示ししたものは
一例であり
どの対応が良いと決められるものではありません。
人間の心は多様であり
同じ人でも時と場面によって大きく変化するものです。
先ずは相手の話をしっかりと聴き
ストレスの原因が何かを知ることから全てが始まります。
災害で家族や家を失った
途方もなく大きなストレスを抱えた方々の多くが
「再生するために助かったと思うことは?」の問いに対して
【寄り添って一心に話を聴いてくれたこと】
だと答えていらっしゃいます。
この答えに
【一心に話を聴くこと】が
過剰なストレスからの再生や回復への
重要な第1ステップであるのだと教えられます。
大切な社員の方々が
調子が悪そうだなと気づいたら
先ずは声をかけ話を聴いてみてください。