部下を伸ばす叱り方
あの時、あの人から叱ってもらったから今の自分がある
あの時、叱ってくれなかったら自分は間違った方向に進んでいただろう
叱ってくださったあの人に感謝している
親兄弟、親戚、学校の先生
職場の上司や先輩など
皆さんの人生にも
愛情をこめて
皆さんを叱って
導いてくださった
そのような方がいらっしゃるのではないでしょうか
このように【叱る】ことは
人に気づきを与え成長を促す素晴らしい行為だと言えるでしょう。
しかし
管理職者の研修をしていると
「叱ること」を難しいと感じている
上司の方々が大変多いことに気づかされます。
ハラスメントに該当してしまうのではないか?
部下のモチベーションを低下させるのではないか?
と考えて叱ることを躊躇してしまう上司が多いようです。
叱ることは
気づきを与え部下の行動変容をサポートする重要なコミュニケーションです。
恐れず、必要がある場合、愛情をもって正しく叱ることが出来れば
部下の成長を支援することができます。
そして、そのような上司を部下は信頼し感謝の念を抱いてくれるようにさえなるでしょう。
今回は【部下を伸ばす叱り方】についてポイントをまとめご紹介していきましょう。
■ポイント1.愛情をもって叱る
叱ることは、部下を成長させるための行為です。ベースに上司としての愛情がなければ、いかなる叱り方も効果を生みません。ゆるぎない愛情をもって叱ることが重要です。
■ポイント2.感情的にならない
感情的に叱らないためには、一度、深呼吸をして、気持ちを落ち着けてから、叱る目的を明確にした上で叱るといいでしょう。感情的に叱ってばかりいると、上司の意図するところは部下に伝わらないばかりでなく、反発を強めたり、情緒不安定を招いたりする結果となります。
■ポイント3.一方的に叱らない 部下の話にも耳を傾ける
部下の話を聴かずに、頭ごなしに叱ってはいけません。まず、冷静に、部下の話を聴きましょう。話を聴く中で、部下自身が反省をし改善点を明確にすることもあります。また、部下の話を聴くことで、何処を指導すればよいのか?叱るポイントが明確になるメリットもあります。
■ポイント4.叱る目的を伝え、事実をもとに【こと】を叱る
叱る目的は、部下を伸ばすことです。事実を明確にして改善すべきことに集中し叱りましょう。
例えば、お客様へに連絡もせず納期遅れを出した部下に対しては
「納期遅れは、お客様にご迷惑をかけ、会社やあなた自身への信頼も失う行為です。絶対に連絡もせず納期に遅れてはいけません。」と叱る目的を伝え
「納期遅れを防ぐためにお客様納期の〇日前に社内納期を設定し、社内納期に送れそうな場合は、私に相談して一緒に納期に送れないよう対策を講じましょう。その上で、止むを得ず遅れが生じる場合は、お客様へ連絡し納期調整をご相談するようにしていきましょう。」と具体的な改善方法を指導しましょう。
「お前はなんて無責任なんだ!」など全人格を否定する言葉や「お前のことはもう知らない!勝手にやれ!」「お前はこの仕事に向いていない。辞めろ!」など、部下を突き放す言葉は心に深い傷となって残り、メンタル不調を招いたり、逆に、反発・反動的な行動を促す結果となります。部下の人格を否定するような言い方は、人権侵害でありハラスメント行為に該当しますので厳に慎むべきです。
人格など【人】に焦点を当てるのではなく、改善すべき【こと】に集中して叱ることで部下の改善意欲も高まります。
■ポイント5.復唱確認
叱った後、部下に改善すべき点を復唱確認させましょう。部下自身が自分の言葉で改善点を明確に語ることでコミットメント(誓約)効果も高まります。また、万一、部下が改善すべき点を誤解していたとすると上司がそのことに気づき再度指導することが出来るメリットもあります。
■ポイント6.期待・感謝・労いを示す
叱った後に「〇〇さんが更に成長してくれることを期待していますよ。」「いつも一生懸命仕事をしてくれていることに感謝していますよ。」「残業続きで疲れている中、素直に指導を受けてくれてありがとう。」などと期待、感謝、労いの言葉をかけましょう。部下が前向きな気持ちで先に進めるようプラスのコミュニケーションで締めくくりましょう。
■ポイント7.くどくどと叱らない
上司の意図が伝わらないばかりでなく、伝えたい内容は心に残らず、怒られているという印象だけが強く残ってしまいます。
また、今叱っている内容に付け加えて、昔のことまで引っ張り出して叱らないことも重要です。終わってしまったことを言っても意味が無い上、現在叱っていることについての改善行動が起こりにくくなります。
■ポイント8.一緒になって叱らない
複数の上司で一緒になって叱ることはさけましょう。部下の逃げ場がなくなってしまいます。一人の上司が叱れば、別の上司がフォローするという形が理想的です。
■ポイント9.誰かと比べて叱らない
「同期の○○君は優秀だぞ、なのに君は・・・」「去年の新人は、もっと早くできていたのに君は・・・・」と誰かと比較してはいけません。ひがみや劣等感を生みプラスのエネルギーを生みません。
■ポイント10.叱る場面を考える
叱る場面を考えて叱りましょう。人前で叱った方が良いのか?静かな場所で落ち着いて叱った方か良いのか?叱った後に改善行動が起こりやすいシチュエーションを選択し効果的に叱りましょう。場面を意識せず、無意図に後輩の前で叱責すると「恥をかかされた」とだけ感じて、改善行動に繋がらないケースもあります。
■ポイント11.叱りっぱなしにしない
叱った後の部下の行動変化を見て、改善が認められた場合は褒め、改善がない場合は
「君ならできると信じているよ。意識してトライしてみよう。」、「改善することが難しいのなら、自分も手伝うので、できる事からやってみよう。」などと行動を引き出すようにフォローしましょう。
■ポイント12.褒めることとセットで叱る
人は褒められることによって、脳からやる気を出すホルモンが分泌され、積極性や活力を生み出します。部下の行動をしっかりと見て、小さな事でも頻度高く褒めることを意識しましょう。褒めることとセットで叱ることで部下の成長意欲が高まります。
怒るは感情
叱るは愛情
と言われています
部下に感情をぶつけて怒るのではなく
愛情をもって部下を叱り成長を支援していきましょう。