post-6906心理的リアクタンス

2023.01.01

心理的リアクタンス

【心理的リアクタンス】という心理現象があります。

 

このマンガを読み終わったら宿題をしようと思っている時に

親から「マンガばかり読まずに宿題をしなさい」と言われて

宿題をする気持ちが完全に萎えてしまった

子ども時代の経験

 

仕事をするようになって

「締め切りが近づいてきたので、急いでこの仕事にとりかかろう」と考えていた矢先に

上司から「直ぐにあの仕事に取り掛かりなさい」と言われ

なんだかモチベーションが下がってしまった経験

 

部下を持つようになって

部下のためを思って「絶対にこうしたほうが良い」と伝えたのに

部下は、全く行動を起こしてくれなかった経験

 

そのようなモヤモヤした経験を持つ方も少なくないのではないでしょうか?

 

これらのモヤモヤを解消するために

【心理的リアクタンス】の理解が有効だと言われています。

 

「リアクタンス(reactance)」とは、日本語で抵抗を意味します。

【心理的リアクタンス】

1966年に米国の心理学者ジャック・ブレーム(Jack Brehm)によって提唱された

「自分の選択的自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする心理的反発作用」

のことです。

わかりやすく言い換えると

人から何かを強制されたとき

人は、反抗心を持ちやすくなると言うことです。

人間は生まれながらに

自分のことは自分で決めたいという欲求を持っています。

したがって

他人に決めつけられると嫌悪感を覚えるのです。

これが【心理的リアクタンス】の発生メカニズムです。

 

【心理的リアクタンス】の特徴は

たとえそれが自分にとってプラスになる内容でも無意識下で反発してしまうことです。

 

いかに質が高くて必要性の高い商品だったとしても、

「絶対買ってください!」「買って絶対損はないので是非お願いします!」

などと言われると

それに反発して購入する気がなくなってしまいます。

 

逆に

「怖い映画なので絶対に観ないでください。」と言われると無性に観たくなったりします。

私たちは何かに自分の行動の自由を脅かされたり

実際に自由を奪われたと感じたとき

その自由を回復するように強く動機づけられます。

【心理的リアクタンス】が生じやすい典型的な状況は

他の人からある特定の行動をとるように強制されたときや

行動の選択肢が制限されたと感じるときなのです。

「絶対にやるべき」

あるいは

「絶対にやるべきではない」

などの強制的な表現を使われと

無意識に腹が立ったり

反発したい気持ちになるのはこのためです。

このような【心理的リアクタンス】の作用を理解すると

相互にストレスがないWIN-WINの関係性構築が出来やすくなりますし

自分自身にとっては、無意味な反発心(リアクタンス)を解消し

正しく判断できる可能性が増えていきます。

 

顧客の信頼を集め営業成績が高い営業パーソンは

顧客の心理作用を理解していて

良い商品やサービスであってもゴリ押しはしないものです。

自社の商品やサービスに自信を持つことは大切ですが

顧客が自由に決定する意志を奪わないように配慮し

充分に顧客の現状、要望、課題をヒアリングした後

課題解決のための複数の選択肢を提示するのです。

そうすることで顧客に【心理的リアクタンス】を感じさせることなく

営業パーソンとしても

顧客のために最適なサービスや商品を提供することが可能となります。

 

また

部下の意欲を高め自発的に仕事に取り組むように導いている上司も

【心理的リアクタンス】を理解し活用しています。

納期が迫っている時に部下に対して

「直ぐにあの仕事にとりかかりなさい。」と命令してしまう上司も多いでしょう。

納期を守ることは

顧客との重要な契約であり

履行することが必要不可欠であることから

部下についつい強い口調で命令してしまうのだと思います。


しかし

部下の意欲や自発性を奪うことになってしまっては逆効果です。

 

このような場合

部下に考えさせ、自発的に納期を守るように働きかけることが重要です。

先ず「いつも頑張ってくれていて助かっています。」と日頃の仕事を労い感謝の気持ちを伝え

「〇日までの納期の仕事について、どのように進めていくつもりかを教えてもらっていいですか?」

と部下自身に納期を厳守するための方法を考えさせると良いでしょう。

その上で

部下がやり方に苦慮している場合は

「必要なら私からも助言します。一緒に納期を守りお客さんに信頼してもらえる方法を考えましょう。」

などと伝え自発性を引き出していくと

仕事の目的を理解し自発的に仕事に取り組む部下の育成が可能となっていきます。

 

他者の【心理的リアクタンス】を理解することと同時に

自己の【心理的リアクタンス】を理解することも大変重要です。

【心理的リアクタンス】

自分自身にも発生することを事前に意識しておくことで

他者から命令や依頼をされた場合でも【心理的リアクタンス】を回避し

冷静に判断できるようになります。

行動を選択する際に重要なことは

【心理的リアクタンス】を意識して

相手の意図の本質を把握し、適切な判断をすることです。

そのことを理解すると

上司から強い口調で命令された場合でも

「あんな言い方されたらやる気がなくなる」と反発するのではなく

「上司が、あれだけ真剣に命令しているのだから重要な仕事なんだな。」

と本質を捉え

ストレスなく前向きに行動することが可能となっていきます。

 

【心理的リアクタンス】を理解することで

相手に抵抗感を感じさせない接し方ができるようになりますし

自身にとっても無意図に反発するのではなく

状況を理解し目的にむけて正しく判断し行動できる可能性が増していきます。

心理的リアクタンス

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